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頚椎人工椎間板置換術とは?特徴やメリットについて

頚椎人工椎間板置換術について

頸椎人工椎間板置換術とは、簡単にいえば人工の椎間板を埋め込む手術方法です。主流である治療法の「前方除圧固定術」とは違い、ヘルニア再発のリスクや、首を曲げたり伸ばしたりといった運動機能を失うリスクの低減が期待されています。

どんな治療をする?

治療の概要は、頸椎椎間板ヘルニアの症状の原因である神経圧迫因子を取り除いた後、「頸椎人工椎間板インプラント」を椎間板に埋め込むことです。
この治療法の対象は、主に以下の2つの条件に当てはまる人が挙げられます。

  1. 3ヵ月以上の保存療法でも症状が収まらない
  2. 頸椎のC3/4~C6/7と呼ばれる部位でのヘルニアか、骨のとげが原因の頸部神経根症か脊髄症になっている

症状が頸部痛のみの場合は原則としてこの治療は受けられません。また著しい椎間板狭小化がある場合は、この治療のメリットの「可動性」が失われる恐れがあります。
現在頸椎人工椎間板置換術で埋め込みができる部分は1椎間のみです。

頚椎人工椎間板置換術のメリット

  • 首の運動機能(首を曲げる・伸ばす)が失われるリスクが少ない
  • 隣接椎間障害(椎間板を固定することで狭窄やヘルニアが発症しやすくなる障害)のリスクが少ない

デメリットはある?

  • 治療が受けられる病院が少ない
  • 治療できるのは脊椎の1椎間のみ
  • 術後はトレーニングを受ける必要がある

頚椎人工椎間板置換術が可能な施設

手術が受けられる病院は、日本脊椎脊髄病学会指導医・日本脊髄外科学会指導医(認定医)が勤務している病院のみです。こうした病院は「プロクター施設」と呼ばれており、以下の18施設でのみ治療を受けることができます

(※2018年7月時点の情報です)

  • 北海道大学病院
  • 筑波大学附属病院
  • 千葉大学医学部附属病院
  • 済生会川口総合病院
  • 東京医科歯科大学医学部附属病院
  • 横浜南共済病院
  • 名古屋大学医学部附属病院
  • 名古屋市立大学病院
  • 中部ろうさい病院
  • 大阪大学医学部附属病院
  • 大阪医科大学附属病院
  • 大阪労災病院
  • 九州大学病院
  • 秋田大学医学部附属病院
  • 慶應義塾大学病院
  • 国際医療福祉大学三田病院
  • 東海大学医学部付属病院
  • 江南厚生病院

引用元:日本脊椎脊髄病学会公式サイト ( http://www.jssr.gr.jp/)
資料:頚椎人工椎間板置換術プロクター施設について( http://www.jssr.gr.jp/topics/files/topic180718_1.pdf)

頚椎人工椎間板置換術の手術は保険適用される?

国内で認可されたばかりの手術と聞くと、保険適用されるか気になる人も多いでしょう。 結論からいえば、頚椎人工椎間板置換術は保険適用がされます。
2018年から保険適用されるようになったので、全額自己負担することなく治療を受けられます。

今までの手術方法との違い

頸椎椎間板ヘルニアの手術で現在でも主流なのは、「前方除圧固定術」と呼ばれる方法です。
この手術は、四肢の痛みや麻痺だけでなく、排尿・排便障害を伴うような重度の症状が起きている場合に適応されます。

全身麻酔を施したあと、頸部全面から食道・気管・総頚動脈・静脈の位置をずらし、手術用のドリルで椎体前面から脊椎神経側まで削ります。
その後ヘルニアか骨棘を取り除き、神経を圧迫しているものを除去。削った部分に腸骨を移植・固定し、縫合するという流れで治療を行います。

前方除圧固定術は神経を圧迫していた原因を直接取り除けるので、頸椎椎間板ヘルニアにおける痛みや痺れへの改善効果が認められています。
しかし、治療において障害部位の動きを腸骨や人工骨で固定してしまうため、首の動きの阻害されてしまう点がリスクとなりました。また、固定している頸椎の隣接部への負担が増加し、ヘルニアの再発や骨棘の形成といったリスクが増えることも問題視されてきたのです。

頸椎人工椎間板置換術は、前方除圧固定術によるリスクを低減するための方法として開発されました。
従来通りヘルニアや骨棘などを取り除いたあと、可動性のある人工の椎間板インプラントを設置。この治療法で首の動きの阻害やヘルニア再発などのリスクの低減が期待されています。

国内では承認されたばかりなので、近年開発された技術のように思えますが、実は10年以上前から欧米やアジア諸国で行われている治療法です。

国内ではメドトロニック社製のPrestige LP®、ジンマーバイオメット社製のMobi-C®の2つの脊椎版インプラントが認可されており、それぞれの認定施設で手術を受けられます。

頚椎人工椎間板置換術が今後期待されていること

頚椎人工椎間板置換術は、2017年に日本で承認されたばかりの治療法なので、治療が受けられる病院が少ないのが実情です。
しかし、治療法の実績が増え、普及が進めば多くの病院で導入されるようになると期待されています。

また、現在では1椎間のみの治療ですが、将来的には1~2椎間への治療に適応される可能性も。より身近に、より多くの症状に対応できるようになるかもしれません。

IPS細胞を使った治療法も将来的に考えられます。IPS細胞は、簡単にいえばさまざまな組織・臓器へと文化できる人工細胞のこと。この細胞を用いれば、椎間板自体を再生できる可能性があります。

頸椎椎間板ヘルニアの治療法は現在でも多くの医師が研究しています。技術の発達により、今後さらに低リスクで高い効果のある治療法が開発されることが期待できます。

頚椎人工椎間板置換術は受けるべき?治療法まとめ

これまでの治療法に比べ、頸椎への負担が低く、首の動き(可動性)を残しやすいなどのメリットがあります。

治療を受けたいと考える人も多いでしょうが、症状によっては治療が受けられない場合もあります。治療を希望する場合は、まずかかりつけの医師に相談するとよいでしょう。

頸椎椎間板ヘルニアの治療は、保存療法が優先されます。頚椎人工椎間板置換術を始めとした手術療法は、保存療法で効果がなかった場合に行われるいわば「最後の手段」。治療を受ける場合は医師と症状についてよく話し合い、頚椎人工椎間板置換術を始めとする手術が必要かどうか冷静に判断しましょう。