一般的には、頸椎椎間板ヘルニアが原因で首の痛みや手のしびれが起こると考えられていますが、ヘルニアではなく「ヘルニアをつくった体」が痛みの原因になっていることも多いのです。ここでは、手術以外のヘルニアの治療方法として、鍼灸院や整体院での治療について紹介します。
鍼灸とは、古来よりさまざまな流儀がある治療方法で、文字通り鍼や灸を使って体の不調や辛さを取り除きます。
鍼灸院の代表的な治療方法の一つが鍼治療です。
日本ではまず鍼管という筒状の棒に鍼を挿入し、そこから切皮・刺入をします。極めて細いステンレス製の鍼を特定の部位やツボに刺入するため痛みはなく、筋緊張の緩和や血液、リンパ液の循環を促進することで、痛みやしびれを改善していくのです。
そのため、「痛みを感じることなく症状を改善していきたい」という人に適した治療方法だといえるでしょう。
鍼灸院では灸治療も行っており、ヨモギの葉の裏にある絨毛を精製した艾(もぐさ)を使用するのが一般的です。
灸治療では程よい温熱刺激が与えられ、鍼治療との相性も抜群。艾にふくまれるチネオールという精油成分が皮下に浸透することで、血行の改善や白血球の増進を促し、体の調子を改善してくれる効果があります。
頸椎椎間板ヘルニアの痛みやしびれによって凝り固まった筋肉も、灸治療をすることで内側からほぐすことができます。
整体は、指圧やマッサージを行うことで骨を矯正したり、筋肉疲労を回復させたりする効果があります。そのため、頸椎椎間板ヘルニアと診断された人の多くが整体院に通っています。
整体院では、頸椎椎間板ヘルニアの症状に効果的な部位を指圧で刺激したり、姿勢や体の歪みを正しい位置に矯正したりすることで痛みやしびれを改善していきます。
そのため、人によっては施術で痛みを感じる場合もありますが、歪みの改善と共に痛みも少なくなっていくのがほとんど。
そのため、鍼や灸治療にやや抵抗がある人や、体の歪みが気になる人に向いた治療となります。
筋膜とは、筋肉を覆っている薄い膜のこと。この筋膜をしっかりと揉みほぐすことで、首回り肩・手などの痛みを根本的に取り除くことができます。
頸椎椎間板ヘルニアでは、痛みやしびれにより筋肉が過度に緊張し、筋肉が正しく動かなくなることが多いのですが、筋膜マッサージをすることでこういった事象も改善が可能です。
整体では指圧やマッサージだけでなく、電気療法を受けることも可能です。
電気療法では、ヘルニアができている場所に電気を当てることで、異物の除去や血行が促進され、痛みやしびれを緩和する効果があります。
また、患部を内側から温めることもできるので、冷えやこりによる筋肉の硬直がやわらぎ、体への負担が軽減。そのため、冷えが気になる人に向いているでしょう。
頸椎椎間板ヘルニアの治療にはさまざまなものがありますが、鍼灸や整体による治療の効果というのは個人差が出やすいのが特徴です。また、利用する施設によっても結果は大きく違ってきますので、利用する施設は慎重に選ぶようにしましょう。ヘルニアの根本治療であれば、こういった施設よりもクリニックを受信するのがおすすめです。
また、長く治療を続けているにもかかわらず一向に良くならない場合は、これ以上症状が悪化しないよう手術を検討してみるという方法もあります。
いずれにせよ、自己判断は危険ですので、詳しい症状や自分の希望を医師に相談するようにしましょう。