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漢方はヘルニアの痛みを和らげてくれるのか

漢方が持つ効果がどのように頸椎椎間板ヘルニアの痛みを和らげるのかご紹介いたします。

頸椎椎間板ヘルニアにも漢方は効果があるのか

漢方と言えば冷え性や頭痛を原因から抑える効果がある根本療法として知られており、頸椎椎間板ヘルニアをはじめ筋肉や関節の痛みを抑える方法としても活用されています。

漢方治療は辛い痛みや痺れを軽減する

漢方医学では、病院の診断(西洋医学)のように原因・病名を特定して治療するのではなく、本人が感じている症状や体質などに合わせた処方を受けられます。同じような症状が出ていてもその人に合わせた漢方薬が処方されるのが特徴です。

漢方の治療はただ痛みや痺れを抑えるだけではありません。関節痛や体の冷えといった症状を軽減しつつ、今後も同じ症状が出ないように体質や生活習慣の改善まで含めた治療方法です。

普段行くような病院で処方される薬に比べて副作用が少ないのも特徴です。しかし、少ないと言っても体質や症状などによっては副作用がでる場合もあります。使用する際は自己判断だけなく医師や薬局で相談してみてください。

頸椎椎間板ヘルニアの原因

西洋医学では頸椎椎間板ヘルニアの原因は背骨と背骨を繋ぎクッションの役割をする椎間板がだんだん後方に飛びだし、神経根や脊髄を圧迫してしまうためとされています。飛び出す理由は主に加齢によるもので30~50代にかけて多くみられる症状です。他にも激しいスポーツや長時間姿勢が悪い状態を続けるのも理由とされています。

しかし、頸椎が飛び出した状態でも痛みを感じない人もいるので、痛みが発生している原因を断定しにくい症状と言えるでしょう。

痛みの原因は瘀血(おけつ)

漢方医学(東洋医学)では頸椎椎間板ヘルニアが発生させる痛みの原因を瘀血(おけつ)にあるとしています。瘀血は血行不良、体のどこかで血の流れが悪い状態になっている状態です。瘀血ができる理由は慢性的な冷えや湿気、ストレス、普段の食事が原因で体に炎症が発生してしまい、その炎症が血の流れを悪くしてしまいます。

血の流れが悪いと本来スムーズに運ばれる酸素や栄養素が上手く行き届きません。その結果として神経や細胞、内臓器官にまで影響がでてしまい、冷え性や肩こり・腰痛・頭痛などさまざまな症状に繋がってしまいます。

瘀血(おけつ)の除去

漢方医学では瘀血による痛みや痺れなどの症状を、体から発せられるシグナルと捉え、治療をおこなってくれます。

痛みや痺れが出ている箇所や患者の体質に合わせて漢方薬の処方をおこない、ダメージを受けた細胞や神経が元通りになるよう働きかける治療が特徴です。

それから原因となった瘀血の除去を目指し、痛みが続くようであれば、体を循環する血を新鮮な状態にする治療へと続いていきます。血の流れが改善されると、酸素や栄養素をスムーズに運び、痛みや痺れなどの症状の改善につながるのです。

症状を改善したあと

疎経活血湯(そけいかっけっとう)

筋肉や関節に痛みがある場合に使用されています。痛みの原因となっている箇所の冷えや水分量を調節し、温める働きがあります。また痛みだけでなく痺れがある場合にも使われる漢方です。

痛みが慢性的に続いている人や湿気が多い時期に痛みを感じる人におすすめです。

牛車腎気丸(ごしゃじんきがん)

腎気(腎臓などを含めた内臓器官)に効果があるとされています。痛みの原因となっている骨や筋肉に十分な栄養を送り、温めることで痛みを抑え、症状を改善する漢方です。

疲労感を覚えやすい人や動かすと痛みを感じる人に効果があります。

桃核承気湯(とうかくじょうきとう)

便秘や月経不順、月経痛といった女性の悩みに処方される漢方ですが、頭痛、めまい、肩こり、腰痛などの症状にも効果があります。生理前・後のストレスや精神的な不安を和らげてくれる漢方です。

独活葛根湯(どっかつかっこんとう)

姿勢の悪いままデスクワークしている人、運動不足で首の筋肉が衰えている人に処方されます。首や肩のこり・痛み・痺れを解消する際に処方される漢方です。肩や首周りを温め血行を良くする働きがあり、四十肩、五十肩、寝違えなどの症状にも使用されています。

薏苡仁湯(よくいにんとう)

痛みや痺れを抑える効果があります。独活葛根湯よりも痛みなどの症状が慢性化している場合に処方される漢方です。頸椎椎間板ヘルニアだけでなく、変形性頚椎症やむち打ちといった症状にも使用されています。

桂枝加苓朮附湯(けいしかりょうじゅつふとう)

もともと体力が少ない人、体が冷えてしまうと痛みを感じる人、お風呂などで体を温めると痛みが治まったように感じる人に処方される漢方です。体の内側から熱をつくり、体を温めるように働きかけます。温めると痛みが和らぐという人にお勧めしたい漢方です。

五積散(ごしゃくさん)

桂枝加苓朮附湯(けいしかりょうじゅつふとう)と合わせて処方されることもある、体を温める効果がある漢方です。

烏役順気散(うやくじゅんきさん)

手の痺れや運動障害がある場合に使用されていますが、首や肩の痛みや痺れにも処方されています。

十味剉散(じゅうみさざん)

肩や首、背中に疲労感やだるさを覚えやすい人に処方される漢方です。上腕(二の腕)の筋肉痛や神経痛などにも応用されています。

治打撲一方(ちだぼくいっぽう)

打ち身や打撲の治療に使用されています。腫れや痛みを和らげる効果があります。頸椎椎間板ヘルニアの原因の1つに打ち身があるため使用されることがあります。

治肩背拘急方(ちけんぱいこうきゅうほう)

精神的ストレスで緊張状態が長く続くと発生する肩こり、痛みに効果がある漢方です。ストレス状態が続くと胃などに影響が出はじめ、肩や首周りの痛みに繋がってしまいます。肩・首だけでなく胃などが原因の場合に処方されます。

まとめ

頸椎椎間板ヘルニアにも漢方は有効利用されています。薬と食事の中間のような役割なので、あまり重くとらえず気軽に利用できるのがメリットといえるでしょう。デメリットとしては効果が出るまで時間がかかることや少ないとはいえ副作用があることです。

また、症状のすべてを漢方だけで治療できるわけではないので注意が必要です。症状が改善しない痛みや痺れが出た際には、自分だけで判断するのではなく医師や薬剤師の意見を聞くようにしましょう

痛みや痺れなどの症状が出ても漢方が持つ効能を知っておけば、症状を和らげる助けになりますよ。