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頸椎椎間板ヘルニアの治療・手術ガイド » 【日常生活編】頸椎椎間板ヘルニアの気になるQ&A » 治療中仕事はできる?

治療中仕事はできる?

頸椎椎間板ヘルニアの治療を検討している方の中には、治療中に仕事が出来るか気になる方がいるかもしれませんね。頸椎椎間板ヘルニアを治療しながら仕事を続けることは出来るのでしょうか。詳しく解説するので参考にしてください。

そもそも頸椎椎間板ヘルニアの治療法とは

頸椎椎間板ヘルニアは、脊髄が通る頸椎を連結している椎間板が壊れて脊髄や神経根が圧迫されている状態です。これにより、肩や手等に激しい痛みやしびれなどが現れます(症状はヘルニアの突出方向で変わります)。症状は、首の鈍痛として現れ、肩や手の痛みに発展することが多いようです。一般的な痛みのピークは2~3週間です。その後は、鈍痛やしびれなどが残ります。残った鈍痛や痛みは、数週間から数カ月で軽快します。あるいは、手のしびれや足のしびれなどで手先の動きや歩行が不自由になることもあります。頸椎椎間板ヘルニアの治療は、保存的療法と手術的療法に分かれます。それぞれ、どのような治療法なのでしょうか。

頸椎椎間板ヘルニアの保存的療法

頸椎椎間板ヘルニアの症状が、一側上肢へ放散する痛みの場合は安静にすることや保存的療法で軽快することが多いといわれています。保存的療法では、椎間腔を広げて組織の圧迫や炎症を和らげ痛みなどの軽快を期待する頸椎牽引療法、頸椎を固定する装具を装着する頸部カラー固定、頸部のマッサージなどの理学的療法に取り組みます。痛みが強い場合は、筋弛緩剤や消炎鎮痛剤を用いることもあります。しびれが強い場合はビタミンB剤を用います。

保存的療法の注意点は、治療により症状が悪化する恐れがあることです。治療を受けたからといって確実に改善するわけではないので、医師の管理のもと慎重に行う必要があります。また、医師の指示に従い日常生活を送ることも重要です。

頸椎椎間板ヘルニアの手術療法

保存的療法で頸椎椎間板ヘルニアの症状が軽快しない場合や脊髄の圧迫による神経障害が出現した場合などは手術的療法を検討します。具体的には、「両側手足のしびれ、筋力の低下、細かな作業が行いにくい、歩行が不自由」などがみられる場合に手術的療法を検討します。神経障害が出現したときに手術的療法を行う理由は、脊髄に不可逆性の変化が生じて回復が困難になってしまうことがあるからです。手術的療法の目的は、症状の進行を止めることと症状を軽快することです。症状が軽快する程度は手術前に分かりません。

頸椎椎間板ヘルニアの一般的な手術として行われているのが、全身麻酔下であおむけになり頸部の右側の皮膚を切開して、頸椎の一部を削り脊髄に対する圧迫を除去する頸椎前方到達法です。手術は2~3時間程度かかることが多いようです。

あるいは、椎間板の中の髄核にレーザーファイバーを刺してレーザーを照射し髄核を蒸発させることで脊髄に対する圧迫が取り除かれるのを期待するPLDD(保存的療法と手術的療法の中間に位置付け)、全身麻酔下で数ミリ程度皮膚を切開して内視鏡や専用の手術器具を挿入してヘルニアを取り除くPEDなども行われています。これらの手術的療法は、従来の手術的療法より身体にかかる負担は少ないとされています。

頸椎椎間板ヘルニア治療中も仕事は出来る?

頸椎椎間板ヘルニアに悩まされながら仕事を続けている方は、治療を受けながら仕事を続けられるか気になるはずです。仕事を続けながら治療を受けることは出来るのでしょうか。

保存的療法と仕事

頸椎椎間板ヘルニアの基本的な治療は保存的治療法です。保存的治療法を受けながら仕事を続けられるかはケースバイケースといえます。症状が軽くて首に負担をかけない仕事であれば、保存的治療を受けながら仕事を続けられる可能性はあります。一方で、首に大きな負担をかける仕事や症状がひどい場合は安静が必要なので仕事を続けることは難しいと考えられます。これらのケースでは、症状が落ち着くまで休職することが必要になるかもしれません。いずれにせよ、ケースバイケースなので、医師に相談することが重要です。

手術的療法と仕事

基本的に、手術的療法を受けながら仕事を続けることは出来ません。一般的な手術では入院が必要になるからです。入院期間は10日~14日程度であることが多いようです。術前に歩行障害がみられる場合は、退院後数カ月のリハビリが必要になることもあります。仕事復帰にかかる期間は、一般的なケースで1~2カ月です。

同じ手術的療法でも、身体にかかる負担が少なければより早期の仕事復帰を望めます。例えば、レーザー治療「PLDD」は状態により日帰りでの手術が可能です。また、状態によっては翌日から日常生活や仕事に戻ることも可能です。一般的な頸椎椎間板ヘルニアの手術に比べ適応の範囲は狭いですが、仕事を休みづらい方にとっては有力な選択肢になります。このほかにも、早期に仕事に復帰しやすい手術的療法はあるので、興味のある方は専門的なクリニックなどで相談すると良いでしょう。

参考:『頸椎椎間板ヘルニア』 日本脊髄外科学会
http://www.neurospine.jp/original24.html

参考:『PLDD:椎間板ヘルニアのレーザー治療』 岩井整形外科内科病院
https://www.iwai.com/iwai-seikei/shujutsu/fed.php

参考:『PED(PELD)腰椎椎間板ヘルニアの内視鏡下手術』 岩井整形外科内科病院
https://www.iwai.com/iwai-seikei/shujutsu/fed.php