ヘルニコアとは、腰痛などを引き起こす腰椎椎間板ヘルニアの新しい注射薬のことで、2018年3月厚生労働省により製造販売が承認されました。
これまでは痛み止めの薬を使ったり、腰を固定するコルセットを付けたりといった保存療法が一般的で、高い治療効果を得るには手術をしなければなりませんでした。
しかし、ヘルニコアは1回の注射で高い治療効果が期待でき、日帰りで入院も必要ありません。
このヘルニコアを髄核に直接注射することで、髄核の成分となるグリコサミノグリカン(GAG)が分解され、飛び出ている髄核を縮小することができます。つまり、手術をしなくても神経圧迫を軽減できるということです。
ただし、使用できるのは腰椎椎間板ヘルニアだけで、頚椎椎間板ヘルニアには使用することができません。
ヘルニコアは、手術をせずに神経圧迫を軽減できる画期的な新薬です。ほかにもさまざまなメリットがありますが、デメリットが全くないわけではありません。
ヘルニコアのメリットは、なんといってもその治療効果の高さだといえます。
1回の注射で、しかも手術をせずに神経圧迫を軽減できるため、体への負担がほとんどありません。また、入院も必要ないのがほとんどなので、経済的な負担や社会復帰の心配も最小限に抑えることができるのです。
【ヘルニコアの主なメリット】
多くのメリットがあるヘルニコアですが、現状では腰椎椎間板ヘルニアのみが治療対象となっているため、首や背中には使用できないというデメリットも。
また、アレルギー体質の人はアナフィラキシー・ショックを起こす可能性があるほか、治療できる医療機関の条件が定められているため、どこの病院でも治療が受けられるわけではないのです。
【ヘルニコアの主なデメリット】
ヘルニコア治療の費用は、ほかの治療と比べてかなり安くなります。
ヘルニコア治療では手術が必要なく、局所麻酔で注射を行いますので日帰りが可能です。万が一入院が必要になった場合でも1泊2日なので、治療費以外でもコストが抑えられるでしょう。
また、健康保険も適用になるため自己負担は3割で済みます。
【治療費比較(3割負担の場合)】
ヘルニコア 切開手術 内視鏡手術
4~5万円ほど 6~10万円ほど 6~10万円ほど
ヘルニコア治療には、それを行える医師と施設の条件があります。
日本脊椎脊髄学会の公式サイトでもその詳細が公開されています。
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[医師要件] 以下1~2を満たす医師とする。
1.日本脊椎脊髄病学会指導医、その指導下にある医師、もしくは本剤の治験に参加した医師
2.椎間板穿刺経験がある、もしくは腰椎椎間板ヘルニア手術 50 例以上の経験がある医師
[施設要件] 以下1~4を全て満たす施設とする。
1.X 線透視設備(C-アームなど)があり清潔操作のもと本剤を投与可能な施設
2.ショック・アナフィラキシーに対応可能な施設
3.緊急時に脊椎手術ができる、または脊椎手術ができる施設と連携している施設
4.入院設備がある施設
引用元:日本脊椎脊髄病学会公式サイト(http://www.jssr.gr.jp/)
資料: 腰椎椎間板ヘルニア治療剤「ヘルニコア椎間板注用1.25単位」の使用について
https://www.info.pmda.go.jp/go/pack/3999447D1020_1_01/
「ヘルニコア」実施可能医師及び施設リストはこちら
http://www.jssr.gr.jp/assets/file/medical/topics/topic200220_1.pdf
参考資料
ヘルニコア椎間板注用1.25単位に関する資料
生化学工業株式会社
https://www.pmda.go.jp/drugs/2018/P20180416001/80003000_23000AMX00457000_B100_1.pdf