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頸椎椎間板ヘルニアは労災扱いになるのか?

労災が適用される問題というと、一般的には仕事中の事故が原因で受け取れるイメージが強いはず。頸椎椎間板ヘルニアは姿勢の悪さといった生活習慣が原因と思われがちですから、労災は下りないのではと懸念する人も多いでしょう。

結論からいえば、頸椎椎間板ヘルニアで労災が下りる可能性は十分あります。

ただし、認定されるには、頸椎椎間板ヘルニアの発症と業務との関係性を証明する必要があるのです。

労災認定されるケース・されないケース

頸椎椎間板ヘルニアを発症したとしても、必ず労災認定されるとは限りません。以下に、労災が認められるケースと認められないケースをご紹介します。

労災認定されるケース:長時間のデスクワークが原因で発症

頸椎椎間板ヘルニアの主な原因は、老化・ケガ・悪い姿勢の3つ。デスクワークだと長時間同じ姿勢を取り続けてしまうため、筋肉の疲労やコリにより姿勢が悪化。頸椎椎間板ヘルニアを発症しやすくなります。

デスクワークの仕事に就いてから頸椎椎間板ヘルニアを発症した場合、または仕事に就いてから持病の頸椎椎間板ヘルニアが悪化した場合であれば、労災が認められます。

その際、症状が現れるまでの普段の業務内容を詳細に記録し、肩こりや頭痛などの自覚症状が現れたころ、診断または通院を始めたころまでの経過を細かくまとめておきましょう。

労災認定されないケース:業務と関らないことが原因での発症

日々の業務が原因で発症したなら労災認定されますが、たとえ業務中でも業務と関係ない行為が原因で発症したなら認定がされない場合も。

よくあるケースとはいえませんが、仕事の合間にスマホをいじるといった私的行為が原因の場合や、労災支給を目的に自分でわざとケガをした場合、仕事中に恨みを持った人物から暴行を受けたことが原因の場合は認定がされにくいです。

また、通勤途中に合理的な経路を取っていない場合も労災が下りない可能性があります。

通勤や退勤途中の事故が原因で頸椎椎間板ヘルニアを発症したなら、「通勤災害」として労災が下ります。しかし、通勤途中でジムに立ち寄ってその後で事故に遭った場合、必ずしも立ち寄る必要のない経路だと判断され、労災が下りない場合も。このように、業務に関係のないこと、業務が原因だといえないことが発症の要因だとすれば労災が下りない可能性があるのです。

労災認定のカギは「業務遂行性」と「業務起因性」

業務遂行性とは、被災した労働者が労働契約に基づき、事業主の支配下に属していることをいいます。これは簡単にいえば、頸椎椎間板ヘルニアを発症した人が事業主と雇用関係にあるかどうか、ということです。業務を遂行している間はもちろん、出張や配達などの外出作業中や休憩中であってもこの業務遂行性は認められるのです。

最も重要なのは業務起因性。これは、症状と業務に関係性があったかを判断する要素です。労働時間・業務の性質・治療を受ける機会の有無・上司に相談して負担の軽い業務へ配置換えされたか、といった点が考慮されます。さらに、発症した方の個人的な習慣や体質・性格なども加味され、総合的に判断されるのです。

労災認定を受けるには、まずこの「業務遂行性」と「業務起因性」を労働基準監督署(労基署)に認めてもらう必要があります。申請する上での準備をした後、順序に沿って手続きを行いましょう。

労災申請の流れ

  1. 医療機関に受診
  2. 業務中や通勤・退勤時のトラブルにより症状が現れた場合、まずは労災病院や労災指定の医療機関へ受診しましょう。これらの医療機関は原則的に無料で治療が受けられます。

    指定の医療機関で治療を受けたとしても、労災認定を受けられます。負担した医療費については、労基署への請求で支給してもらえるでしょう。

    労災申請をするには、「療養の費用給付請求書」を労基署へ提出する必要があります。これは医療機関または会社で記入、提出ができます。

  3. 会社への報告
  4. 一般的に労災申請を行う場合、前もって労災申請をする前に上司や会社の総務課へ報告をします。

    しかしこれは申請をするために必ず行うべきことではありません。労災申請は会社の同意・承認を得ず、個人での対処も可能です。その場合は治療を受けた病院で費用給付請求書の記入、提出を行う必要があります。

  5. 労基署へ請求書の提出
  6. 作成した費用給付請求書を労基署へ提出します。医療機関や会社へ記入・提出した場合、医療機関や会社が申請者に代わって提出してくれます。

  7. 労基署からの調査
  8. 申請を受理したあと、労基署から必要な書類の提出や聴取を依頼されることがあります。

    この調査は申請した人全員が受けるわけではなく、必要に応じて行われます。調査を依頼された場合は内容に従いましょう。

    労基署から申請が認められれば、指定の口座へ給付金が支払われます。休業給付を受けたい場合は、別途で休業(補償)給付支給請求書を提出する必要があります。

会社の労災隠しに注意

労災申請をする場合、多くの人は勤めている会社に報告を行うはず。

しかし、会社によっては労基署からの処分や発注会社からのペナルティーを恐れ、労災申請を拒否する事例が後を絶ちません。

労基署への申請書には会社側の記入が必要な箇所もありますが、必ずしも会社側の署名が必要というわけではありません。申請を拒否された場合はあきらめず、個人で提出する方法を取りましょう。

労災認定された人の体験談

ここで、頸椎椎間板ヘルニアの人が労災申請を行い、認定された体験談をご紹介します。

問題なく申請できました

去年に持病だった頸椎椎間板ヘルニアが悪化し、仕事を続けることが困難になったため、労災申請を行いました。

手続きはそれほど難しくなく、申請書を記載した後に病院へ証明を依頼。その後で会社へ書類を提出しました。申請書を書いたのが7月末ごろで、実際に支給が決まったのが9月中旬くらいですね。申請から支給までに間が空くと、治療費や生活費が大きな負担となります。治療で大変ですが、申請はなるべく早めに行ったほうが良いですよ。

会社に相談したところまったく相手にされませんでした

保育士として働いていたのですが、元々頸椎椎間板ヘルニアになりかけていたこともあり、仕事に就いてから半年ほどで症状が現れました。朝ベッドから起き上がれないほどの痛みが現れ、何とか病院で診察を受けたところ、ヘルニアの発症が発覚。医師からもしばらく仕事を続けるのは難しいといわれ、労災を申請しようと思ったのです。

ところが会社に報告をしたところ、「他の人はヘルニアになっていない」「仕事ではなく、あなたの普段の生活に問題があったのでは?」という理由で申請を拒否され、まったく相手にしてくれませんでした。

1度は労災をあきらめましたが、やはり納得できず、申請の方法を労基署の窓口で相談。申請書の書き方を教わり、無事給付を受けることができました。会社側から拒否されたとしても、個人での申請はできます。あきらめず、窓口や専門の方へ相談しましょう。

労務士さんに相談することをおすすめします

私が労災を申請した時は、職場の労務士さんに相談しました。申請書の書き方や、申請するにあたって必要な書類の作成も手伝ってくれたので、本当に助かりました。労災が認定されるには、症状が現れた原因が職場だとはっきりするための客観的な資料も必要なようです。申請をすれば必ず認定されるとは限りませんから、自分1人で対応が難しい場合、労務士さんに相談するといいですよ。

まとめ

頸椎椎間板ヘルニアを発症すると、実生活での負担だけでなく、収入や治療費などのお金の負担も問題となります。

労災による給付は金銭面での負担を抑えるための方法の1つ。痛みや治療で大変な時期でしょうが、生活のためにもできるだけこうした申請は行っておきましょう。